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トリシェ総裁発言を受けてユーロが大きく上昇


3月3日

昨日の市場では、
ECB(欧州中央銀行)が市場の予想通り利上げを行なった後、
45分ほどして行なわれた
トリシェECB総裁に記者会見の席で、
総裁が今後の利上げ継続を示唆するとも取れる発言を行なったことで
ユーロ買いが一気に強まった。

総裁は、利上げを行なっても、
ユーロ圏の金利は依然非常に緩和的と発言、
インフレについても短期的に2%を上回ると述べたことで、
今後もユーロ圏で利上げが継続される可能性が高まったと
市場は認識、
これまで上値を抑えてきた1.19台後半の売り注文をこなして
1.2030/40までユーロドルでの高値を伸ばした。

ユーロの買いは、対ドルだけでなく、
対円などユーロクロスでも堅調。
ユーロ円は138円台から一時139円台半ば越えまで上昇した。

ECBの利上げ自体は完全に予想通りであったが
その後の会見がここまでタカ派(金利にとって強気派)なものになるとは
見込まれておらず、
市場のサプライズを読んだ形になった。

金利主導で市場展開が続くなか、
今回の声明は、今後の流れを左右してきそうという見方も有り
相場にとって、中長期的にも重要な転換点になる可能性も指摘された。

ポンドやスイスなど欧州通貨も
ユーロドルでのユーロ高ドル安の流れを受けて
ドル売りが目立つ展開。

しかし、ドル円は115円台半ばからの下値の固さが意識され
欧州通貨ほどドル安にはならず。
ユーロ円の買いなどクロス円の上昇にも下値を支えられ
115円台後半までのドル安にとどまった。

【東京時間】

東京時間は、目立った動意無く
小動きな展開。

前日のドル円115円半ばトライにおいて、
下値の堅さが意識され
短期的な利益確定のドル買戻しが入る一方。
量的緩和の早期解除期待を受けての
ドル売り円買いも上値には控えており
上下とも動き難い展開で、
116円台前半での推移になった。

夜にECBの金利発表を控えたユーロは
さらに動きが見られず
15ポイントほどの狭いレンジで膠着状態。

【ロンドン時間】

日本時間21時45分の
ECB金利発表までは
ユーロ買いが優勢な動き。

利上げが見込まれることを好感したユーロ買いが続く展開になった。
もっとも、専門家の事前予想が
ほぼ全て0.25%利上げで統一されていたこともあり
動きは限定的で、それまでの1.1915/20近辺での膠着状態から
20ポイントほどの上昇にとどまった。

そして21時45分に予想通りの0.25%の利上げが発表されると
利益確定の動きが逆に強まり
元の1.1915/20まで値を戻す展開になって
その後のトリシェ総裁の記者会見を待った。

【ニューヨーク時間】
トリシェ総裁の記者会見は
上述どおり
かなりタカ派的なもの。
とくに、金融政策は依然非常に緩和的という文言は
今後のECBにおける利上げ継続を示唆したものと捉えられて
市場はユーロ買いで大きく反応した。

これまでユーロは
ユーロドルでの1.1950から1.2000にかけての売り注文などに
頭を抑えられる展開が続いてきたが
今回の総裁発言を受けて
その水準を越えて上昇が進み、
1.2040近くまでユーロドルが上昇。
ユーロ円などユーロクロスも堅調な展開になり、
ユーロ高が目立つ形になった。

欧州通貨は素直にユーロドルに追随したものの
ドル円は、115円台後半までのドル売りと、
他の通貨に比べてドル安が進まない印象。

このところ円独歩高的に円高が進んできたこと、
115円50銭近辺の買い注文を意識した動きが見られること、
ユーロ円などクロス円での買いが活発に入っていることなどが
ドル円の下値を支えていると見られる。

後市場で目立つのが、
ドルカナダでのカナダ買い。
カナダ経済がかなり好調で
金利が上昇傾向にあることなどを好感し、
1992年以来のカナダ高水準を記録している。

いままで採取コスト面から投資不適格であった
カナダのオイルサンド系の油田に対する投資が
原油高を受けて一気に強まっており
カナダ経済にかなり強い追い風が吹いていることを好感したものと見られる。

【今後の見通し】
ユーロの利上げ継続期待は
金利を意識した展開が続く市場の動向に
かなり影響を与えてきそうだ。

今後これまで頭を抑えてきた1.19台半ばが逆にサポートに作用すると
ユーロドルの堅調傾向は続きそう。
一月の高値である1.23台が意識される動きになるとの見方もある。

ドル円は、ユーロドルなどでのドル安の影響も限定的で
下値がしっかりしているようにも見えるが
戻りの116円台半ばが重かったことが気になるところ。

ユーロドルなどでのドル安傾向が強まるようだと
これまでの円独歩高に近い形ではなく
ドル全面安の形でのドル売り円買いが進むのではと言う見方もある。
もっともまだ115.00―50には買い注文も入っていると言われ
一気の円高進行には慎重な見方も多い。
115.50と116.50のどちらをしっかりと抜けてくるかが注目である。

■為替ニュース配信サイト「Klugクルーク」




山岡和雅
やまおかかずまさ

1992年チェースマンハッタン銀行入行
1994年ロイヤルバンクオブスコットランド銀行
(旧ナショナルウェストミンスター銀行)移籍
10年以上インターバンクディーラーとして活躍した後GCIグループに参画。
2005年9月よりGCIキャピタル・シニアアナリスト
(社)日本証券アナリスト協会検定会員
主な著書として「外為投資ネットでらくらく儲かる方法」(すばる舎)