TOP >弱い米雇用統計に、ドルは大きく売り込まれる
| 次の記事>> |
弱い米雇用統計に、ドルは大きく売り込まれる
5月8日
************忙しい人のためのサマリー*********
米非農業部門雇用者数(NFP)が、予想(20万人)を大きく下回る
13.8万人という驚くべき結果。前回、前々回の数字も下方修正されるという
かなり弱い指標結果に、ドルは大きく売り込まれる。
数字までは、ポジション調整が目立つ展開であった。
数字直後はドルがほぼ全面安の状況であったが
ユーロドルなどは、このところ対ドルで既に買い(ドル安)が進んでおり
瞬間の動きが一服すると動きは限定的、
ただ、ドル安が比較的穏やかであったドル円に関しては
ドル売りが一気に進み、ドル円は114円近くから112.24までと
年初来安値を越える水準まで大暴落となった。
*********************************************
金曜日の市場で最も注目された
米雇用統計「NFP:非農業部門雇用者数」の数字は
予想の20.0万人に対して
13.8万人と、一瞬目を疑うような低結果。
前回の数字も21.1万人が20.0万人に、前々回の数字も22.5万人が20.0万人に
下方修正されており、その点でもかなり弱い雇用統計となった。
市場ではこの数字を受けてドルが一気に売り込まれる展開。
NFPまではポジション調整の動きが優勢で、
ドル円は114円を瞬間回復、
113.95近辺と、114手前で数字を迎えたのだが、
NFPを受けて一気に113.50割れ、
前日の安値圏である113.25/30までつけたあと小幅な戻しを見せたが、
戻りの鈍さが嫌気され
再び売りが強まると、113円台を割り込み
ストップを巻き込んで、売りが売りを呼ぶ形に。
112.50などポイントポイントでの買いを飲み込む形で売りが続き、
112.33の年初来安値をも割り込んで
112.24まで値を崩すという大幅なドル安円高の進行になった。
前日のECB理事会後の記者会見でのユーロ大幅利上げ示唆を受けて
すでに買いが目立っていたユーロドルなどの欧州通貨は
NFP直後こそは50ポイント以上買いが出たものの
その後の押しは限定的で
途中からは、ドル安というよりも円高の流れ。
クロス円での欧州通貨安円高に
ユーロドル、ポンドドルなどの頭が抑えられた形となった。
ここのところのドル売りに動きにおいて、
欧州通貨に比べて出遅れ感のあった円が
遅れを取り戻しに行った形となった。
オセアニア通貨等も、欧州通貨と同様に、
NFP直後はドル売りが目立ったものの
その後は対円での円高が目立つ形となった
対ドルでの上値進行も抑えられた。
【アジア】
東京勢が連休中で不在の中
ドル円が113円台半ばから後半まで小幅上昇するなど
ドル売りポジションの買戻しがやや優勢になる展開。
前日は、ECB理事会後のトリシェ総裁の記者会見での
強気な発言を受けてユーロ買いドル売りが強まり
他の通貨にもドル売りが波及する流れとなったが
アジア時間まではその流れは持ち越されず
夜の米雇用統計を控えて買戻しが優勢な展開となった。
前日の動きの主役になったユーロに対しても
ポジション調整の売り(ドル買い)がはいっていたが
下値にユーロ債投資に絡んだ買いなどもあり、動きは限定的。
午前10時半に発表された貿易収支が
予想以上の赤字拡大になったことに加え
同じく午前中に発表された第2四半期金融政策報告において
インフレ警戒の表現が弱まったことを受けて
AUDは売りが目立つ展開で、
オセアニア時間の高値から50ポイントほど下落。
【ロンドン】
ロンドン時間に入って、
米雇用統計前のポジション調整がさらに強まる形。
このところのドル安の流れで
市場ではドル売りポジションがたまっていると見られ
指標発表前にある程度ポジションを整理するために
ドルを買う動きが強まった。
また、それ以外に目立ったのは、
ECB要人からの発言。
木曜日にトリシェ総裁が理事会後の記者会見で
利上げに強気なコメントを行い、
市場では6月に0.5%(50BP)の利上げもありうるのではという期待を強めている
なか、
木曜日の発言から一日たって、市場の反応を見極めたうえで
総裁がどのようなコメントを行うのかや
他の要人はどのようなコメントも行うのかといったところに
市場の注目が集まっていた。
そうした中、トリシェ総裁は、木曜日の発言を繰り返し、
ドイツ連銀のウェーバー総裁も利上げに前向きな発言を行って
ユーロ買いを呼んだ。
全般的には、指標前のドル買いのほうが優勢であったが
こうした発言を受けてのユーロ買い意欲も入ったため
ユーロドルは底堅い展開になった。
こうしたドル売りの材料のないドル円などは
指標前に素直にポジション調整となり
瞬間114円を回復する動き。
114円をつけていったん戻りに一服感が出て113円台後半で指標待ち。
【NYK】
注目の米雇用統計、
非農業部門雇用者数は
予想の20万人増に対して
13.8万人増と、驚きの低結果。
前月の数字も21.1万人から20.0万人に下方修正され
前々月の数字も22.5万人から20.0万人に下方修正されるという結果。
このインパクトのある数字を受けて市場では
一気にドル売りを進めた。
114円手前で指標を向かえたドル円は 113.50割れ、
1.2685近辺で指標を迎えたユーロドルは1.2750越えまで一気にドル安が進行。
その後ユーロが1.2765近辺まで上値を伸ばした後
いったん伸び悩みを見せたが、
本数字だけでなく、前月と前々月の数字も下方修正される形での低結果となった
インパクトは大きく、戻りは限定的であった。
4月のISM製造業、非製造業などの好結果を受けて、
発表まで市場は好結果を期待しており、
専門家の事前予想(中心値20.0万人)のうち
最も低い予想数字でも16.5万人程度という状況においての
13.8万人という数字のインパクトはかなり大きかった。
ドル円は、前日も下値をとめた113.25/30の水準で
一旦は下値を止められた形になったものの
戻りが113.50近辺までと非常に限定的で、
再度の下トライに113.25をしっかり割り込むと
テクニカル筋からもドル売りが入って
更なるドル安進行。
ユーロなどでのドル売りが落ち着いている中、
クロス円の売りを巻き込む形で、
113.00を割り込み、5月3日の安値112.88も割り込んで更なるストップを巻き込みと
数字を受けてのドル売りが、下にあったストップロスの売りを巻き込んで
売りが売りを呼ぶ状況。
112.50の手前では、一旦値を止めたものの
113円までも戻せない状況に、
中期筋からのポジション解消の売りも入って
112円33銭の年初来安値を割り込んで、
112円24銭をつける大幅なドル安円高の進行となった。
また、
その後も戻りも鈍く112円台前半を中心にした動きであった。
NFPを受けての最初のドル売りは
ドル円だけでなく、ほぼ全ての通貨に対してのドル全面安で、
上述どおり、ユーロドルが50ポイント以上急上昇するなどの展開が見られたが
ドル円の113.25/30を割り込んでからの下げは
ドル安というよりも円高の進行。
欧州通貨やオセアニア通貨等殆どの通貨に対しても円高が進み
ユーロドルなどは、クロス円での売りに対ドルでの上値進行が抑えられる形に。
円は、このところの欧州通貨やAUD、CADといった通貨に対するドル安進行の局面において
比較的ドル安円高進行が穏やかで、動きに出遅れ感があったところを
追いつきに行った印象。
【ここからの見通し】
年初来安値をも越えて
ドル安円高が進んだ金曜日の市場。
さすがにやりすぎ感も見られるが
戻りが鈍い。
年の後半からは、
ドル金利上昇に打ち止め感が入り
逆に円金利の上昇期待から円高進行を見込む専門家が多く
このところ決算発表とともに公表される
本邦企業の社内レート(業績見通しの下になるレート)も
円高方向に振れている状況ではあるが
そうした動きが前倒ししてきた印象。
ここまでの円高進行を受けて
今日も谷垣財務相あたりから円高けん制発言が出てくるものと思われるが
金曜日にアダムズ米財務次官が
「日本は介入を避けることが妥当。」
「為替レート関するコメントもおそらく避けるべき」
と釘を刺したような状況で
実際に介入などの行動を取れるとは考えにくい。
米中間選挙も控える中、
露骨な円防衛策は米国の標的を中国から日本も含めた形に変えるだけで
得策ではないと見られ、
口先介入程度では、市場は慣れてしまって早晩反応しなくなることを鑑みても
円高へのリスクというものは強まっている状況である。
さすがにやりすぎた分の戻しは期待できるだけに
下値を売り込みたくはないが
戻りを丁寧に売りに回ってみるのも面白そうである。
113円台前半、113.50、114.20といったところが上値の抵抗線、
115.50を越えると下値トレンド一旦終息といったところか。
下値は110割れを意識してみたいところ。
ただし、金曜の後半の動きは
ユーロなどが落ち着くなかでのパニック的な円高進行。
こういう動きは、なにかきっかけが入ると、
大きく戻す可能性があるため、
あまり強気に下値を追いすぎるのは危険ではある。
|
1992年チェースマンハッタン銀行入行 1994年ロイヤルバンクオブスコットランド銀行 (旧ナショナルウェストミンスター銀行)移籍 10年以上インターバンクディーラーとして活躍した後GCIグループに参画。 2005年9月よりGCIキャピタル・シニアアナリスト (社)日本証券アナリスト協会検定会員 主な著書として「外為投資ネットでらくらく儲かる方法」(すばる舎) |
|---|
