TOP >資金のドル回帰の動きがNY夕方に強まる


<<前の記事

次の記事>>

資金のドル回帰の動きがNY夕方に強まる


5月24日

************忙しい人のためのサマリー*********
東京昼ごろ、S&Pが日本の格付けアウトルックを引き上げたことで円買いも
111円ちょうどからがしっかり

その後はレンジ取引の様相が強まり
ドル円は111.00/60での振幅。

動きがでたのは、NY夕方からで、新興市場の株安などを背景に
資金のドル回帰の動きが強まる。

リスク資産の圧縮が進んでいるようで、NY株も引けにかけて急落
長期債が上昇(利回りの下落)するなど、
安定資産に資金が流れている。
*********************************************


昨日の市場、
東京のお昼ごろに
米格付け会社S&Pが
日本の格付けアウトルックを安定的からポジティブに変更。
これを交換して円が一気に買われたものの
111円ちょうどが堅く、下値がしっかりしているところに
NYの引けにかけて一気にドル高が進行という動きであった。

最も注目された材料、
バーナンキ議長の議会証言は、
インフレ懸念を表明し、今度のFOMCにおける利上げを示唆するものになっていたが
ドル買いの動きは限定的。
すでに6月の利上げを織り込んできている市場の姿勢が印象付けられる結果となった。

東京昼過ぎに円買いが進んで以降は、
大き目のレンジでの信服を繰り返していた市場は、
議会証言でもその姿勢を崩さずといったところ。

しかし、動きが出たのは
NY引け間際。
インドネシアの鳥インフルエンザが人に感染という報道や
ヘッジファンド破綻の噂などによって
新興国市場の株式が大きく下落。

資金のドル回帰の動きが強まって
ドルが、対円、対ユーロなど主要通貨を中心に大幅高を見せた。

商品市場は時間内は堅調であったものの
その後時間外市場に入って反落したことで
投資資金のドル回帰の動きをさらに強め、
ドル円はNY昼の111円台前半から112.40までと1円以上も一気に値を上げた。
ユーロが1.28台後半から1.27台後半まで値を下げる(ドル高)など、
ドルはほぼ全面高の様相であった。

【東京市場】

午後に入って飛び込んできた
S&Pの日本の格付けアウトルックの安定的からポジティブへの引き上げに
円が一気に買われるという展開を見せた。

朝方は前日の動きを引き継いでドル買いが優勢、
本邦生保筋などからドル買い円売りの動きも見られ112円手前までドル円も上昇していた。

その後、111円台後半を中心にもみあいを続けた後、
S&Pのアウトルック引き上げの報道に
一気に円買いが進んだ。

ドル円は、報道を受け111.60から111.00近辺まで売り込まれ
ユーロ円も143円台後半から143円割れ、
ポンド円などその他クロス円も軒並み安で、
円の格付け関係なので、当然といえば当然ながら
円の独歩高となった。

【ロンドン市場】

ロンドン市場に入っても、
円買いの流れが続く。

ドル円は111円ちょうど近辺から買いが入っており
下げ渋りを見せたのだが、
その分クロス円での円買いが顕著になり、
ユーロ円やポンド円が値を落とす(円高)展開。

ユーロドルなどの欧州通貨は、
クロス円の売りに頭を抑えられて
対ドルでもやや軟調な動きを見せた。

もっとも、ドル円の下げ渋りの影響もあって
売りが一巡した後は、ポジション調整の買戻しも入り
ドル円が111.00-60のレンジ内で振幅を見せるなど
レンジ取引の様相であった。

この後NY時間に控えるバーナンキ議長の議会証言を待つ動きも見えた。

【NY市場】

注目のバーナンキ議長の議会証言への反応は限定的であったが
引けにかけて、
新興市場の下落から、資金のドル回帰の動きが強まり
ドルが一気に上昇する動きを見せた。

まず市場が注目したのが
バーナンキ議長の上院での議会証言。
議長はインフレを警戒する姿勢を表明したことで
若干ドル買いの動きにつながったが
思ったほどドルは伸びず、
この時点では上値が重い印象。

ロンドン時間のレンジを踏襲する動きを見せていた。

そうした動きが一変したのは
NY市場も夕方に入ってから。

きっかけになったとのは、インドネシアで鳥インフルエンザが人に感染という報道が
ワシントンポストに出たとの話。
アジア通貨売り懸念から、新興国市場の株売りにつながり
世界の投資資金のドル回帰の動きを一層強める形になった。

このところたびたび噂になる
ヘッジファンドの状態が良くないという話も
資金のドル回帰の動きにつながっており
こうした話をきっかけにドルがほぼ全通貨に対して一気に買い進まれた。

ドル円は、111円台前半から、112円手前まで買い進まれた後、
いったんは売りに頭を抑えられたが、
その後112円越えのストップを巻き込んで
112.40までジャンプアップ。
その後は112円台前半での攻防。
ユーロドルは1.28台後半から1.2800手前まで売り込まれたあと
1.28割れのストップを巻き込んで
1.2766まで値を崩し、その後は1.27台後半での攻防。

オセアニア勢が中心の一日でも最も取引量の少ない時間帯であったことも
動きに拍車をかける結果となった。


【ここからの見通し】

投資資金のドル回帰の動きが、かなり根強いようだ。
商品市場の下落や
インド、ブラジル、ロシアといった新興国市場での株の大幅安などによって
世界の投資資金がかなり痛手を受けており
リスクを回避して、ドルに資金を戻し
長期債などで安定運用するという
リスクアバージョンの動きが鮮明になっていることが
早朝のドル買いにつながったと見られる。

昨日のNY時間でかなり値を戻した商品市況も
時間外に入って反落しているように、
まだまだこうした市場の動きが不安定だけに
今後もドル買いの材料として、こうした資金のドル回帰の動きを意識する必要がありそう。

また、格付けアウトルックの報道があっても
111円ちょうど近辺がしっかりしていたことも、
かなり下値に安心感を与える動きで、
上値トライの期待を持っている向きが多そうだ。

ただし、112円台は、金利などを支払っても
7-9ヶ月期の支払いが社内レートの110円よりも上で手当て出来るとあって
輸出勢の売りが活発に入ってくることも考えられるので
一本調子でのドル買い円売りも難しそうではある。

-[PR]-------------------------------------------------------------------
山岡和雅の書籍第二弾が、5月下旬に発売されます。

FX 基礎知識&儲けのルール

FX(外為証拠金取引)に興味があるけれども、どうやって儲けていいのかわからない 
という方に、儲けるための基礎知識やポイントを解説した。
これからFXを始めようという方に最適の入門書です。
-------------------------------------------------------------------[PR]-

■為替ニュース配信サイト「Klugクルーク」




山岡和雅
やまおかかずまさ

1992年チェースマンハッタン銀行入行
1994年ロイヤルバンクオブスコットランド銀行
(旧ナショナルウェストミンスター銀行)移籍
10年以上インターバンクディーラーとして活躍した後GCIグループに参画。
2005年9月よりGCIキャピタル・シニアアナリスト
(社)日本証券アナリスト協会検定会員
主な著書として「外為投資ネットでらくらく儲かる方法」(すばる舎)