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FOMCは0.25%の利上げも声明文は期待ほどタカ派ではなく


6月30日

************忙しい人のためのサマリー*********
FOMCは0.25%の利上げ、ただし声明文は期待ほどタカ派ではなく
ドルは一気に売り込まれる。

ドル円は116円台前半から115円割れまで、ユーロやポンドも一気にドル安進行。

声明文では、今後の利上げにmay be neededの表現を残して
含みを持たせる形。コアインフレの懸念継続も示した。

しかし、インフレと経済成長の状況次第では打ち止めもあることを示唆し、
8月8日の利上げ継続をほぼ完全に織り込んでいた市場の、利上げ期待に水を差した。

株式市場では、大幅株高、債券市場では短いところの利回り低下と、
ほかの市場も声明の影響が大きい展開。

FOMCまでの市場は基本的に小動き、
ポンド売りとドルカナダのカナダ買いが目立った程度。
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昨日の市場、最大の注目はなんと言ってもFOMC(米公開市場委員会)。
水曜日から二日間にわたって行われているFOMCの結果がでたのは
今日の午前3時15分。
0.25%の利上げ自体は、完全に予想通りのもので、
市場は織り込みが済んでいたこともあり
注目は、そのときに出る声明文の内容に絞られていた。

声明文は、
Readings on core inflation have been elevated in recent months.や
the Committee judges that some inflation risks remainと
コアインフレのリスクについて言及し
The extent and timing of any additional firming that may be needed to address these risks will depend on the evolution of the outlook for both inflation and economic growth, as implied by incoming information.
という形で、
「may be needed」という文言を残しながら
8月の利上げは必要であろうと表現。
今後の利上げ継続に含みを残しているものの、
インフレと景気動向を見ながらの決定にあると表明。

また、住宅市場の冷え込みなどについても、ある程度は影響があると表現。
partly reflecting a gradual cooling of the housing market and the lagged effects of increases in interest rates and energy prices

このまま行けば、8月8日のFOMCでの利上げ期待が残るものの
殆ど確実とまでに織り込んでいた市場とすると
状況によっては、利上げ打ち止めの可能性もある今回の声明文は
期待していたほどタカ派な内容ではないといったところで、
今回の声明文発表を受けて、市場は一気にドル売りをすすめた。

ハト派といえるほどの声明文ではないのだが、
市場の事前期待が大きすぎ、
金利市場を含めて、8月の利上げがほぼ確実というところまで織り込んでしまった状況にしては
慎重な表現の残る(バランスが取れたともいえるが)今回の声明に対する
市場の失望が大きかったようだ。

この声明を受けて、ドル円は116円台前半から114.90近辺までドル売りが進み、
ユーロドルは1.2520/30から1.26台半ば越え、
ポンドドルにいたっては1.8100近辺から1.8300近辺までと
各通貨とも一気にドル安が進行する動きを見せた。

FOMCまでも、NY朝などを中心にそれなりに振幅があったのだが、
そうした動きは吹き飛ばされた形。

【FOMC前のまとめ】
東京、ロンドンと様子見ムードの強い展開(要人発言のあったポンドの動きが目立った程度)
NY朝に入って、FOMC前のポジション調整も含め、
ややドル売りが進行、ドルカナダを中心にドル円でもドル売りが目立ったが
その後値を戻し、ドル円は116円台前半でFOMC待ちとなった。

【東京市場】

FOMCを夜に控え、動きがとりにくい展開。

円に関しては、
6月末前ということもあり
外貨建て債券に絡んだ円売りが活発に入っており
下値が支えられる展開で、116.50を超えてくる場面も見られたものの
116.60を超えて高値を追うことにも慎重な姿勢が見られ
高値圏でのもみあいに終始した。

ユーロドルは1.28台半ばで膠着。

【ロンドン市場】

ロンドン時間に入っても、基本的にはFOMCをにらんだ様子見ムード。
そうした中で、活発な動きが見られたのがポンドであった。

キング英中銀総裁をはじめとしたMPC(金融政策決定会合)メンバーが
英財務省の特別委員会で発言を行い、
その中で、インフレ期待が押さえ込まれている旨を表明、
利上げを急がない姿勢を示したことで、
金利に敏感な市場のポンド売りを呼ぶ形になった。

1.8140割れ、1.8125割れとストップロスのポンド売り注文も入っており
下落が加速する形に。
さらにもっと大きな売りがあり、つけると1.80も視野にといわれた1.8100割れも
目前まで迫ったが
安値は1.8103と、ぎりぎりのところで踏みこたえ、その後短期筋のポジション調
整に値を戻した。

ユーロドルは、ポンドドルの売りに頭を抑えられてじり安となり
1.25台半ばから1.2520/25まで小幅安。
もっとも、ポンドの値幅に比べて小幅な動きで、FOMC前にポジションをとりづら
い状況が見られた。

ドル円は116円台半ばから、ポンド円などの売りに若干だけ上値を抑えられたが
基本的には116.40/50と高値圏でのもみあいが続いた。

【NY市場(1)-FOMCまで】

FOMCを前に、動きにくいとの見方が強かったが、
朝から意外と活発な動きを見せた。

まず最初の動きは、ロンドン時間に進んだポンド売りをはじめとする欧州通貨売
りドル買いの調整も絡んでの
欧州通貨高ドル安。

午後9時半に発表された米第一四半期GDPは、確報値ということもあり、
事前の注目度が低く、GDPの結果自体も基本的に予想通りと、動きにくそうな結果
であったが
同時に出たGDPデフレータの数字が、3.3%から3.1%に下がっており
インフレ懸念が後退したことなどがを意識させて、ややドル売りを呼んだ。

ポンドが1.81台半ばを超えて、東京時間の水準に戻したほか、
ユーロドルも1.25台半ばと下落幅を取り戻す形に。

ドル円はそうした動きの中で、
118.15/20まで一時ドル売りが進行。
東京、ロンドン市場で下値を支え続けた116.35にあったドル買い円売りの大口注
文がキャンセルされ
その下のストップロスがあぶりだされる形でドル安円高が進んだ。

その他で目だったのは、ドルカナダの下落(米ドル安カナダ高)。
カナダは対ドルだけでなく、対ポンド、対円でもカナダ高となり、
ドルカナダは、ロンドン朝の1.12台前半から100ポイント以上ドル売りカナダ買い
が進んだ。

その後、ポンドが再び軟調地合いになったことや
ドルカナダが、さすがにやりすぎたのかポジション調整が入ったことなどを受けて
FOMC前にややドル買戻しムード。
ドル円も、一時116円を割り込んでいたが116.20近辺まで値を戻した。

【NY市場(2) FOMC後】

FOMC声明はmay be needed の文言も残り
今後の追加利上げに含みを持たしているものの、
インフレと経済成長の状況によることをはっきりと表現し、
状況次第では打ち止めもあるという内容に。

前回と比べて、それほどドラスティックに変化したわけではないが、
8月の利上げを完全に織り込みつつあった市場は
利上げ期待にもっと安心感の出るタカ派な表現を期待していたということで
米株式市場はダウが200ポイント以上と2%近い上昇、
ナスダックにいたっては3%近い上昇を見せた。
米債券市場は、二年債の利回りが5.27%から、5.18%へと急低下。

外国為替市場でも、ドルが急降下というかたちになり、
ドル円は116.20から、一時115円割れまで下落、
ユーロやポンドなどに対してもドル売りが大きく進行し
ドルは大幅な全面安となった。

住宅市場の冷え込みなどにも触れる場面があるなど、
今後の状況次第では利上げ打ち止めもあることを示した声明内容は
経済状況によって、柔軟に金融政策を取るというある意味当たり前の内容であるのだが
市場は、利上げ継続を強く期待しており、その期待を後押しする声明を予想していただけに、
為替.株.債券など各市場にとって、
かなりサプライズな声明内容になった。

【ここからの見通し】

8割以上の織り込みを見せるなど、
8月もほぼ確実に利上げが行なわれると見越していた状況から
今後の経済指標などをきっちり判断していかなければ行けない状況に変わったということか。

とはいえ、この声明を受けてもまだ利上げ継続の可能性が高いことには違いが無い。
FOMC声明ショックが落ち着くまで、
もう少しドル売りが入る可能性はあるが、
その後はインフレなどの状況次第であろう。

そうした中で、今日注目してみたいのが
午後9時半に出るPCEコアデフレータの数字。
このPCEコアは、FRBがインフレ指標としてもっとも注視していることでしられ
FRBのインフレ予想も、PCEコアが対象になっている。
今のところ予想は前回と同じ2.1%(前年比)これが2.0%やそれ以下になるようだと
もう一段のドル売りを呼びそう。

また、今後も、PPIやCPIなどインフレ関連指標を中心に、
経済指標全般の注目度が高まる展開になりそうだ。

■為替ニュース配信サイト「Klugクルーク」




山岡和雅
やまおかかずまさ

1992年チェースマンハッタン銀行入行
1994年ロイヤルバンクオブスコットランド銀行
(旧ナショナルウェストミンスター銀行)移籍
10年以上インターバンクディーラーとして活躍した後GCIグループに参画。
2005年9月よりGCIキャピタル・シニアアナリスト
(社)日本証券アナリスト協会検定会員
主な著書として「外為投資ネットでらくらく儲かる方法」(すばる舎)